水樹奈々

    水樹奈々

    【水樹奈々 インタビュー】
    ヴォーカリストとしての変化を
    如実に感じるベスト盤

    2012年の「Synchrogazer」以降のシングル曲に新曲2曲をプラスした全17曲を収録する、3枚目のベストアルバム『THE MUSEUM III』。まさに水樹奈々のヴォーカリストとしての変化と今を感じさせる作品になった。

    「Vitalization」から変化
    自分の声や身体作りを見直した

    ベスト盤のリリースは3枚目ですが、いかがですか?

    とても嬉しいです。ベスト盤を“ミュージアム”というコンセプトに決め、ジャケットデザインを見た時、この真っ白な衣裳がいろいろな作品との出会いによって色付いて、いつか七色に染まるといいな… 7枚並べることを目指して頑張りたいと話していました。それはとてつもない目標なのですが、夢の実現に向けて、また一歩あゆみを進められたことが、とても幸せです。本当にみなさんの応援のおかげです。改めて、この一枚の重みを実感しています。

    ブックレットの写真には各曲の衣装や撮影小道具が。

    私がミュージアムの館長として、それぞれの衣装や撮影小道具をアート作品に見立てて紹介していくという構成になっています。私自身もアイテムに触れながら制作当時のことをいろいろと思い出して。部屋の片付けをしていたら懐かしい写真が出てきて、掃除そっちのけでついつい見入ってしまうような感じでした(笑)。みなさんも曲を聴きながら、曲ごとの思い出に浸っていただけたら嬉しいです。

    ここ6年間のシングル曲を収録していますが、新たにマスタリングを施したとのことで、どんなふうに変わったのですか?

    レコーディングエンジニアさんごとに個性が違いますし、ミックスの手法もその年ごとに流行りがあって、1枚に収めるにあたって聴こえ方がちぐはぐになってしまうのは避けたかったんです。みなさんに『THE MUSEUM III』という作品として新たな気持ちで聴いていただけるよう、現在のベストなかたちでマスタリングしました。それによって当時はあまり聴こえていなかった音が前に出てきたり、ヴォーカルの変化も如実に分かるものになりました。当時のシングル盤をお持ちの方は今回のベスト盤とで聴き比べていただくと、違いを感じていただけると思います。

    水樹さんご自身の声の変遷もリアルに感じられますね。

    改めてこういうかたちで年代順に聴くと、6年でこんなにも変わっていたんだと自分でも本当に驚きます。その時の気持ちの変化や追い求めていたものが手に取るように分かるので恥ずかしいです(笑)。特に大きく変化し始めるのは「Vitalization」からです。西川貴教さんとのコラボ曲を制作していた時期で、他のアーティストの方の制作過程を初めて目の当たりにすることで、とても刺激を受けました。そこへ自分の厄年も重なり身体の変化もあって、身体作りなどいろいろ見直すようになった時期でした。

    「禁断のレジスタンス」の前に喉を壊してしまったこともあり、それも大きかったと思いますが。

    はい。多くの方にご心配とご迷惑をおかけすることになり本当に悔しく苦しい出来事でしたが、今思い返すと自分の喉や身体のことを見直す機会だったんだと思います。骨折するとその部分の骨が強くなると言いますが、それと同じと言うと語弊があるかもしれませんが、とても強い声になったと感じています。喉に負担をかけずいかに声を響かせられるか、その方法を自分なりに研究した時期で、チェリーボーイズのみなさん(バックバンドのメンバー)からは“艶が出た”“脂が乗った”“声が大人になった”と言っていただいて。10年以上サポートしてくださっているみなさんからの言葉は自信につながりました。

    喉の使い方や体の使い方が変わり、それによって水樹さんの声も変わったわけですね。

    それまでは声帯や腹筋、肺活量といった呼吸器周りや上半身について意識していて。トレーニングもライヴのためにスタミナをつけるのが目的でした。でも、実際は声も楽器と同様に体がどういう状態であるかで響きが変わります。自分の声と体を知ることで声帯だけではなく、体全部を楽器として使うという考え方になりました。遅ればせながら、そのことに気付けて本当に良かったです。

    水樹さんがヴォーカリストとしてひと皮剥けた瞬間も、ここには収められているわけですね。

    はい。がむしゃらにぶつかって、打ちのめされて、そして立ち上がって、追求して…6年間の水樹の全てがあります。