LEO今井

    LEO今井

    【LEO今井 インタビュー】
    生身の音とバンドの一体感を追求した理想のロックサウンド

    KIMONOS、METAFIVEの活動でも知られるLEO今井が完成させた5年振りとなるアルバム『VLP』。ハイブリッドな音楽性を強靭なバンドサウンドに落とし込んだ意欲作…こんなロックを待っていた!

    1曲目の「Wino」のジム・モリソンかニック・ケイヴかって雰囲気のヴォーカルにグッと引き込まれました。

    私はダンジグを意識していました(笑)。でも、ドラムの白根賢一さんもジム・モリソンっぽいと言ってましたよ。

    METAFIVEをきっかけにLEOさんのファンが増えたことを考えると、まさに待望のアルバムですね。

    ええ。個人的にもすごく気に入ってます。5作目なんですけど、今までで一番理想の音に近付けたと思います。理想の音っていうのはティーンエイジャーの頃にはまった90年代のアメリカのオルタナロックなんですけど、未だによく聴きます。

    ただ、これまでもそうだったように、それだけではないですよね?

    いろいろ試したいんでしょうね。でも、今回はいろいろ試さないようにしました(笑)。“この曲はバンジョーを入れてみよう”とか“ストリングスとか入れてみようかな”とか、そういうアイディアも浮かんだんですけど、今回は余計なものはなるべく省こうと。もっと生身の自分の音楽と、6年間一緒にやってきたバンドの今の一体感をダイレクトに表現すべきだと思ったんです。

    アルバムを聴かせていただいて、日本のロックシーンにはこういうロックサウンドが必要なんじゃないかって。

    私もそう願っています(笑)。

    こういうロックを聴けたことが嬉しかったです。今回、LEO今井バンドで初めて全曲レコーディングしたところが大きな聴きどころですね。

    『Laser Rain』というアルバムを2009年にリリースしたあと、向井秀徳さんと組んだKIMONOSでアルバムを1枚作ったんですけど、そこからどうなるかが全然分からなかった。ひょっとしたらもう終わりかもしれないとも思ったんですけど、とりあえずライヴをもっと上手くできるようにしないといけないと思って、それ以前からサポートしてくれていた白根賢一さん(Dr)、高校時代の音楽仲間のシゲクニ(Ba)、シゲクニと昔同じシーンで活動していた岡村夏彦(Gu)を固定メンバーとして集めました。初めて4人で合わせた時から何か特別な感じがしたんですよ。その後、ライヴを重ねながら、無になって自分の中から音楽を引っ張り出して制作しようと、前作の『Made From Nothing』(13年)を作りました。今回のアルバムはその延長ではあるんですけど、電子音を含めたバックトラックを削ぎ落とした。前作を作った時、7割ぐらいの曲をバンドだけで録ったんですけど、今回は全てそれだけでやりたいと思って。

    前作を作った時、LEOさんは“自分は完璧主義者で、アートを作る時だけは独裁者でいてもいい”と発言していましたが。

    言ってましたね(笑)。今回は前作の時よりもバンドが演奏した時の空気を、そのまま残そうと心がけました。もちろん全曲の全パート、私がデモを作っているんですけど、曲によっては一部をメンバーに自由にプレイしてもらったりもしました。基本は全部プロデュースしたいタイプだとは思うんですけど、全体の音像はオーバープロデュースにならないようにあえてテキトーを意識しました(笑)。

    今回は曲を作る時、何かテーマはあったのですか?

    アメリカンロックや私が幼い頃に聴いていたカントリー&ウェスタンの泥臭さと、キリング・ジョークのメタリックで、たまにシンセが入るインダストリアルなサウンドが混ざった感じにしたかったんです。今回のアルバムに向けて最初に作った「On Videotape」で、それが体現できたと思いました。その後、例外と言える予想もしていなかった曲もできて…例えば、たまたまできたシンセのリフから作った「Tiffany」は他の曲とちょっと雰囲気が違いますよね。

    逆にアルバムのキーになる曲は?

    全曲ですけどね。その中で「New Roses」は自分にとって初心に戻った曲でもあったし、バンドにとってはチャレンジでもありました。デモを作った時、演奏してさまになるのかちょっと心配だったんですけど、やってみたらみんなノリノリで。ちょっとメンバーたちの熱意をナメてましたね(笑)。演奏的にも音楽的にも、このアルバムのテンションのピークになっていますよ。「On Videotape」の次に作った「Bite」はアルバムの全体像がさらに明確に見えたという意味で重要な引き金になりました。泥臭さあり、声のアグレッションあり、気持ち悪いバックトラックあり、それに加えて4人の特長がよく出ている。でも、現時点で一番ハートに近いのは50年代のアカペラグループの要素が入った「Fresh Horses」。爽快なパワーポップ/パンクロックとも言えるこの曲は大好きです。

    ところで、“VLP”というアルバムタイトルは、どんな意味なのですか?

    深い意味はないです。リスナーそれぞれの想像力にお任せします。シゲクニは“Vikings love protein”と言ってましたね。私、半分はスウェーデン人だからすごく当てはまると思います(笑)。あとね、“virus-like particle”(ウィルス様粒子)っていう意味もあるそうです。

    「Bite」の歌詞に《ウィルス》とあるので、てっきりそこから付けたんだと思っていました。

    そう、確かに歌詞にあるんです。でも、そこから付けてはないんですよ(笑)。それは偶然なんです。

    最後にリリース後の活動を教えてください。

    ボブ・ディランと同じ日(7月29日)に『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演します。1997年の第1回目にシゲクニと一緒に行ったから、『FUJI ROCK』は自分のハートの中でちょっと特別なんです。青春時代の思い出なんですよ。その後、アルバムのツアーをやりたいと思っています。ライヴをやるつもりで作ったアルバムだから、聴いた人はぜひ足を運んでほしいですね。ライヴが想像しやすいアルバムだと思います。

    取材:山口智男

    LEO今井 プロフィール

    レオイマイ:日本・スウェーデン出身。イギリスでの生活を経て日本へ移住。オルタナティブを基盤にした無国籍な都市の日常を切り取るニューウェイブ・シンガーソングライター。その文学的、実験的な作風は、各都市で生活してきた“VISITOR”としての視点にあふれている。ソロワークスの他に、向井秀徳(ZAZEN BOYS)とのユニットであるKIMONOSを2010年に結成し、現在も活動中。また、高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコらとMETAFIVEとして16年にアルバムを発表。他に作曲家・作詞家・作詞翻訳家としても活動中。LEO今井 オフィシャルHP

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    アルバム『VLP』